しかし! そもそも「パンクです」と宣言しているこの映画に理屈やら理解やらを持ち出す方が間違っているのである。人は目の前の出来事を自動的に理解して、納得しようとする。古い時代劇や時代小説をよく知る人は、掛が冒頭に巡礼のおじいさんをたたっ斬る理不尽な場面を見て、過去の有名作品を思い出すこともあると思う。でも、この映画は過去のどの作品にも似てないし、似たものは二度と現れない。観ている人は「ま、わかんなくていいや」と思えた瞬間、暴れまわる人間も猿(甲冑着用猿リーダーが誰かと思ったら、3時間かけて特殊メイクで猿になりきったという永瀬正敏)も、渦巻きも超能力もイケイケー!と思える。正直、この域に達するまでにへとへとになったが、とんでもないものを見たな~、わっはっは!と笑っていればよいのである。

 
 じわじわと伝わってくるのは、この映画は作ってる人たちがとっても楽しかっただろうなという空気だ。やっていいのね、この時代に。そして、この映画に出演した俳優たちは、こういう映画オッケーの人々なんだ、よかったよかったと思えてくる。中で私が個人的に一番面白かったのは、みんなが「ノー!ノー!」「手取りいくら?」など現代語で会話する中、ただひとり「余は…」とカチコチのお殿様演技を貫いた「超カタブツ!」お殿様役の東出昌大。パンク、オッケーの人だったんですね。よかったよかった。

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