『防衛大式 最強のメンタル』著者の濱潟好古氏
濱潟:まさにそのレベルです。あとは、応援団も厳しいですね。短艇委員会が練習場所へ向かう途中に、“ポンド階段”という急で長い坂があるんですが──。
二階堂:取材で行きました。ゆっくり上って、途中3回休みました(笑)。
濱潟:応援団はその階段を真夏に長袖長ズボンの真っ黒のジャージを着て20往復のダッシュ。その後、休憩だと言われて飲むのが、メチャクチャ熱いお汁粉です。「こんなことができなくて人を応援できるのかっ!」とか言われていました。
二階堂:苦行に苦行を重ねますか……。
濱潟:究極的には、幹部自衛官になるための訓練ですから。
こんなこともありました。朝の清掃に遅れた下級生がいました。そうしたら、上級生が「帰れ!」って。で、下級生が「帰りません!」。「清掃やるんか」「はい」、「帰れ」「いいえ」、「清掃やるんか」「はい」、「帰れ」「いいえ」、「はいとかいいえとかドラクエかっ!」
二階堂:うまい(笑)。
濱潟:どれも、いまの普通の企業や学校でやったら完全にパワハラになっちゃうんですけど。
二階堂:でも、そういうギリギリの時って、ユーモアや笑いは大切ですね。
濱潟:大事ですね。へらへらするんじゃなくて、ユーモアや笑いは時として心を軽くします。会社や仕事でもそうですが、きつくなってくる時、笑いは自分を救います。少し笑えば、それだけで余裕ができますからね。
二階堂:『あおざくら』でも上級生の厳しい指導のシーンを描いていますが、「あんな先輩いたら無理でしょ」という笑いも込めています。読者の皆さんには、「あんな理不尽に比べたらまだ頑張れるかな」と笑ってもらいながら、逆境を乗り越える一助になれば嬉しいです。