国内

おしゃべりと笑いが絶えない「認知症カフェ」が大盛況

ケア体制も整った認知症カフェが人気(写真/アフロ)

「認知症カフェ」が全国につくられている。認知症の本人とその家族が孤立しないように、お茶を囲むカフェの雰囲気で交流し、専門家から知識を得られる場だ。現在日本全国に5000か所に迫る勢いで存在しており、超高齢化社会を迎える中で注目を集めている。

 地域住民の「認知症を知りたい」という声から、認知症専門医の高橋正彦さんが提案し、土橋町内会が企画運営を担う神奈川県川崎市にある『土橋カフェ』へ足を運んでみた。

 驚くのは参加者の勢いだ。高齢者やその家族はもちろん、専門医、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員、弁護士など、認知症や高齢者介護にかかわる専門家も参加。しかも全員私服で地域住民の一員になる。何気ない世間話の中で体調や介護のことを話せば、隣り合わせた専門家が答える。相談ではなく日常会話なのだ。そのせいか会場はおしゃべりと笑い声が絶えない。この大盛況で今もっとも注目される認知症カフェだという。

「合間に健康などに関する講話と軽い運動を行いますが、どちらかといえばおしゃべりやお茶を楽しむのがメイン。カフェですからね」とは、土橋カフェ主宰の老門泰三さん。

 この日の講話は、老人会会長が写真スライドを見ながら土橋地区の歴史を語った。戦中戦後、高度経済成長期と、転入時期の違いはあれど同じ土地で生きてきたご近所さんと懐かしい風景や出来事をたどり、「そうそう!」という歓喜の声やため息も。

「町内会の掲示板を見て、これを聞きたくて久しぶりにカフェに来ました」と言う80代の男性も満足気だった。

「こうして出掛けて来て親しく話し、人の話を聞いて、いろいろな感情が湧く。これだけでも認知症ケアとしても大いに効果があります」と言う高橋医師も、毎回私服で参加者の輪の中にいる。

“地元”の温かさをしみじみ感じられるカフェだ。

※女性セブン2018年7月5日号

関連キーワード

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン