今回の大阪北部地震は、大都市の地下に存在する「活断層」の脅威を、改めて認識させた。地中の岩盤が割れ、ずれが生じた場所が「断層」であり、そのうち、今後もずれ動いて地震の発生源となり得ると考えられているものが「活断層」と呼ばれる。東洋大学の渡辺満久教授(変動地形学)が説明する。
「6月18日に起きた大阪北部地震は、発生に至るメカニズムが複雑とみられているため現時点で断定はできませんが、活断層が原因の地震の可能性が高いと考えられています」
掲載した地図では、大阪北部地震の震源地とその周辺の活断層の位置を示した。一見、震源と活断層は離れた場所にあるように見えるが、渡辺氏はこう説明を続ける。
「断層は地下に向かって垂直に延びているとは限りません。今回の震源の近くには、大阪・高槻市から兵庫・神戸市北区に至る『有馬―高槻断層帯』(全長約55km)と、大阪の東部の枚方市から羽曳野市を南北に走る『生駒断層』(全長約38km)という2つの大規模な活断層が走っています。特に『有馬―高槻断層帯』の動きが原因となって、今回の地震が起きたと疑われています」
M(マグニチュード)6.1の大阪北部地震による死者は5人、負傷者は300人を超えた(21日時点)。とくに被害の大きかった大阪府茨木市や高槻市では、寸断されたライフラインの復旧作業に加え、大雨による二次被害への対策に追われている。
また、地震発生直後から大阪市内の鉄道会社はすべて運転中止を迫られた。主要な街道は会社や自宅へ向かう人の波で埋め尽くされ、大都市の地震への脆弱性を改めて見せつけられた。