国際情報

CIAなど米諜報員の裏切り増加、中国に高額で情報を売る

中国当局が一本釣り

 米国防総省(ペンタゴン)国防情報局(DIA)の諜報工作員や米中央情報局(CIA)の幹部や現場工作員が、中国当局に一本釣りにされ、米国政府の機密情報を多額の現金で売り渡すという事件が増えている。

 なかにはDIA工作員が15件もの米側の軍事情報を少なくとも80万ドル(約9000万円)で売り渡したり、CIAの中国内の現地工作員名簿が現金100万ドル(約1億1000万円)と引き換えに中国側に渡ったりもした。これにより、CIA工作員20人が殺害・捕縛されてスパイ網が壊滅状態に陥ったケースも明らかになっている。米CNNなどが報じた。

 最初にあげたケースでは、DIA工作員ロン・ロックウェル・ハンセン容疑者(58)が、6月初旬に、シアトル空港で中国行きの飛行機に搭乗しようとしたところを米連邦捜査局(FBI)に逮捕された。

 ハンセン容疑者は中国語に堪能で、中国政府のために国防に関する情報を収集し、売り渡した疑いをかけられており、今後、起訴され裁判を受けることになる。容疑が証明されれば、終身刑もありうるという。

 DIAは国防総省のスパイ部門で、米軍の戦闘作戦のために軍事情報を収集、分析する目的で1961年に創設され、現在では約1万7000人が働いている。

 一方、海外を舞台に諜報工作を行っているのがCIAで、CIAの香港駐在の元捜査員ジェリー・チュン・シン・リー被告(逮捕当時53)は、国防情報を収集し中国に受け渡そうとしていたとして今年1月に逮捕され、6月初めに起訴された。彼の裏切りにより、中国内のCIA組織が壊滅的な打撃を受けたことは大きなニュースになっている。

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