グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(69)が“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクト。渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。
シンガーソングライターの小坂忠(69)が持ってきたのは、一度は手放し、20年ぶりに手元に帰ってきたギター「ギブソンJ-501」。
「ソロ活動を始めた時からいつも一緒で、これで多くの曲を作った。僕にとっては、音楽活動を共に歩んだ大切なギターでした」
手放した一因は愛娘の大火傷。教会で回復を祈り続けたのを機に、クリスチャン、牧師となり、ゴスペルシンガーへと転向。結果、経済的に困窮して売ったのだ。それが20年ぶりのライブツアー前、“忠さんが戻って来るなら、あのギターが必要”と持ち主が快く返してくれたのだ。
「まさに奇跡と感謝したよ」
昨年、ステージ4の大腸がんが見つかり、大手術をして復活。それも良い経験と語る。