冒頭で触れたように、各メーカーとも、ビール市場の縮小をRTDやワインなどで少しでも補おうと奮闘している最中で、ハイボール缶には力が入る一方、RTD市場の両輪でもう1つの柱になっている缶チューハイについても大きな動きがあった。
去る5月末、コカ・コーラが「檸檬堂」という、アルコール度数が3種類(7%が塩レモン、5%が定番レモン、3%がはちみつレモン)ある商品を投入して話題になった。あるビールメーカーの首脳はこう言う。
「『檸檬堂』の缶チューハイは私も飲んでみましたけど、味については正直、こんなものかなという印象でしたね。ただ、『檸檬堂』のパッケージはさすが、マーケティングに長けた飲料業界の巨人、コカ・コーラさんだなという感じでカッコいい。いまは九州エリア限定販売ですが、どのように全国展開を考えているのかは興味があります。本音を言えば、あまり頑張らないでほしいですけどね(笑い)」
新規参入も出てくるほど活況で、競争も激化する缶チューハイ市場に加え、同様に伸びているハイボール缶市場の戦いも今後、徐々にヒートアップしていきそうだ。
●文/河野圭祐(ジャーナリスト)