アメリカ人が自家醸造を土台に強固で多様なビール文化を生み出し続けている。それを横目にわれわれは、口に合うクラフトビールを探し続ける。
20~30年前に比べれれば、居酒屋の宴会場で大量のビールの飲み残しを見ることもずいぶんと減った。適正量のビールが注文され、飲まれるようになっただけなのに、「ビール 冷え続ける人気」という見出しを打たれてしまう。「冷え続け」ているのは、国内の「ビール」そのものではなく、ビール市場を取り巻く環境ではないのか。
関わるプレイヤーが多いほど、そしてそのすそ野が広いほど文化は多様になり、熟していく。それはアメリカも日本も変わらないはずだ。大手ビールメーカーのあのジョッキで「クーッ」とやるのもいいし、マイクロブルワリーのあの1本をゴクゴクと味わうのもまた楽しい。悩ましさが増すほど、のどを潤したときの多幸感は増幅する。さあ、今年もビールがとびきりおいしい季節がやってきた。