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2018.07.17 16:00  NEWSポストセブン

六本木のダンスパーティでバブルを懐かしむアラフィフ女性の告白

 ファッションなど見た目は派手な美奈さんだが、話を聞くために入ったのはバーでもレストランでもなく、駅前のカフェチェーン店で、コーヒー一杯で二時間も話してくれた。普段は吉野家、松屋などで食事をとり、月に6万円のマンションに十数年住み、部屋にはパソコンの一台もない。テレビは若い同僚から貰った、型落ちの海外メーカー製で、液晶画面はうっすら黄ばんでいる。六本木で見た美奈さんの姿格好からは想像すらできないような、質素で慎ましい生活をしているのだ。

──遊びをやめ、借金を返し、親の面倒を見ながら、自身の為に婚活でもしてみてはどうか?

 思わずそう言いかけそうになった時、美奈さんは筆者の考えを予想していたかのように述べた。

「こういう生活が幸せ、というのがわからないのね。私だって普通に働いて結婚して子供を産んで、っていう未来を想像していた時だってあったの。でも当時はそうじゃなかったし、周りもみんな遊んでいたから……。手遅れだ、と思っても悔しいから意地でも遊んで、結婚した子たちのことを逆に“憐れんで”みようとしたし、いつまでも遊んでいるほうがかっこいいと言い聞かせてきたのかも。そしたらだんだんね、目標もすべきこともわかんなくなっちゃった」

 筆者は、美奈さんより少し下の世代になる、引きこもり中年男性たちの取材も経験している。彼らにも目標がなく、すべきことも見つからず、ただ一日一日を過ごしていた。取材した男性は「就職氷河期」「バブル崩壊」というキーワードを口にし、原因が国や時代にあると言いたげだった。しかし、美奈さんからはそうした発言はついぞ出なかった。なぜなのか。

「誰が悪いとか、私の生活がダメとか、そういうのは大きなお世話。働かなかったら死ぬだけだし、遊びたければ遊ぶし、親の面倒見て、税金払って、誰にも迷惑かけなければいいじゃない。本当に働けなくなったときは……お金持ちのおじいちゃん見つけて……後妻業みたいな(笑)。そういうのも悪くないんじゃないかなって思う」

 彼女のように、かつて華やかだった時代の外面だけを、メルカリなどを駆使して維持する人も少なくはない。もちろん、どういった形であれ“生きてさえいればよい”といった考え方もあるだろうが、貧困のまま何とかやっていけてしまう環境に慣れてしまってはいないかと、ふと思った。貧困に慣れてしまえば、生活の向上からは遠のき、近く更なる貧困に喘がなくてはならない。数年後に、新たな貧困問題が語られていないか。一抹の不安を覚えるのだ。

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