もしかしたら、これまでいいと思われていた接し方が、実はあまり意味のないことだとわかるかもしれないし、反対に、あまり重要視されていなかったことが、いい効果をもたらす、といった発見があるかもしれない。それは、新しい価値観や倫理をつくり出す可能性さえある。
また、自治体向けには、市民一人ひとりの要介護度認定履歴や医療のレセプトなどを解析するサービスも展開している。一人ひとりの健康状態を将来予測し、要介護になることが予測できたときには、そうならないためにどんなサービスが必要か、予防的に対応していくことができる。市民にとっては、健康寿命を延ばすことにつながり、自治体にとっては介護費などの社会的コストを減らしていくことにつながる、というわけだ。
こうしたAIの活用は、超高齢社会を手探りで歩いていくぼくたちにとって、「新しい地図」になるかもしれない。
それにしても、なぜユマニチュードに注目したのだろうか。単刀直入に聞いてみた。すると、とても個人的な体験がベースにあることがわかった。彼の家族は双極性障害を長く患っている。コミュニケーションの助けとして、ユマニチュードが使えるのではないかと思ったのが始まりだったという。