そして今日、2005年に持ち株会社のセブン&アイ・ホールディングスを設立したセブン陣営は、中核のセブン‐イレブン・ジャパンを軸に百貨店のそごう西武なども傘下に収め、一方のイオンもヤオハン、マイカル、ダイエーなどを飲み込み、勢力を二分する巨大流通グループとなった。

 当然、両陣営ともに仕入れなどのスケールメリットも巨大で、ビールメーカーに限らず、メーカーに共同開発などのPBで組む土壌が醸成されていく。また、低価格の発泡酒や第3のビールに限らず、セブン&アイ向けで言えば、サントリービールがセブンプレミアムゴールドで「金のビール」、サッポロビールが「100%MALT」と、本物のビールでもPBを出したことも話題になっていった。

 ビールメーカーのシェア順位は、アサヒビール、キリンビール、サントリービール、サッポロビールの順だけに、これまでPBは、サントリーやサッポロが多かったのだが、その波はついにキリンにも本格的に押し寄せている。

 先般、今年1月~6月の上半期シェアでキリンが一人勝ち(ビールの「一番搾り」と第3のビールの「本麒麟」が好調)を収めたが、昨年は逆にキリンの一人負け状態だった。

 その危機感も後押ししたのだろう、今春以降、キリンはセブン&アイ向け限定で「一番搾り 匠の冴」を投入したほか、ファミリーマート向けに「クリアモルト」、ローソン向けにも「ゴールドマイスター」を投入。

 そして大きな話題になったのが、6月にイオンから製造受託した第3のビール「バーリアル」だった。イオングループ向けのこの商品、以前は韓国のメーカーに製造委託していたのをキリンとの契約に切り替えたもので、価格も350ml缶で税込み84円、500mlでも118円と、まさにバーゲンプライス。

 このため、ほかのビールメーカーの首脳からは「製造原価に固定費が乗っていないのではないか」といった声も聞かれた。逆に言えば、ひときわ低価格であることに加え、イオンが掲げる年間販売目標も大きいことから、これまでのPB商品とは比較にならないほどの関心を呼んだともいえる。

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