稲川は秋、冬の間に日本各地を回り、“心霊探訪”をしている。その“取材”の結果、多くの怖い話が生まれているといわれる。そうしたリアルな話も、聞く人に恐怖を感じさせる大きな要因になるという。
「実際に自分が現地に行ってリアルなイメージを持って話していると、相手に情景がよく伝わります。長年の巧みな話術で聞き手を集中させ、世界観に引き込むから、より怖く感じさせることでしょう。稲川淳二さん=怪談という先入観がある人なら、期待度が増すので、ますます入り込みやすくなります」
稲川が毎年、夏に各地で行っている怪談イベントのように、一人よりも集団で怪談を聞くほうがより恐怖を感じる傾向にあると、中尾さんは指摘する。
「真っ先に恐怖をあらわにする人がいるとしたら、周りの人がそれにつられる現象があります。集団ヒステリーと同じです。誰かが怖がると、恐怖が連動していくのです」
まだ終わりそうもないこの極暑。ひんやりと過ごしたければ、稲川の怪談ならかなり期待できそうだ。「やだな~こわいな~」――もうこれしかない?