国内

銃で撃たれた感触とは? 九死に一生を得た元刑事の告白

拳銃で撃たれた感触って…?

 警察の内部事情に詳しい人物が関係者の証言から得た、警官の日常や刑事の捜査活動における驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、ある強盗事件の現場で、犯人に拳銃で撃たれた経験を元刑事が語る

 * * *
「撃たれた時の感触は…、そう野球のバットの素振りかな。それがガンとあたったような、そんな感じの衝撃があったね」

 元刑事はゆっくりと右腹をさすりながら、そう語った。

 昔も今も、刑事ドラマや警察ドラマは根強い人気がある。そうしたドラマの展開で犯人との格闘や逮捕など、シーンに緊迫感を持たせ盛り上げるために欠かせないのが銃撃や発砲シーンだ。しかしその一方で、現実のニュースで拳銃に絡んだ事件が報道されることもあるが、一般的な日本人にとっての「拳銃」はあくまでドラマの中のもの、身近なものではない。

 その元刑事が撃たれた事件が起きたのは、彼がまだ交番勤務だった時だ。携帯電話も、街角や店先に防犯カメラもない時代。現場は巨大なターミナル駅にほど近い銀行の支店。寒い冬の日、閉店間際のその支店に、拳銃を持った男が押し入ったのだ。「異常発砲あり」という通報から始まったこの事件は、「警視庁が選んだ重大事件ランキング100位」にも入っている。このランキングは、警視庁が創立140年を記念して、平成26年に行った「みんなで選ぶ警視庁140年の重大事件」のアンケート結果によるものである。

 通報を受けて最初に駆けつけたのは、銀行から最も近い交番に勤務していた巡査だ。そう、話をしてくれた元刑事である。

「通報を聞いた時、交番には二人の警察官がいたんだが、交番を閉鎖できないから、自分が一人臨場してね。現場に近いから走って行ったんだ。現場に着くと、店のシャッターは全部下りていた。でもビルの横にある非常ドアだけ開いてたんだよ」

 銀行は営業時間終了の15時になるとシャッターを閉めるが、店内に残っている客が帰るために通用口を開けている。この時、その通用口がまだ開いていたのだ。

 躊躇なく、そのドアをバッと開ける。目の前にコートを着た男が後ろ向きに突っ立っていた。その先には、手を上げて総立ちになっていた銀行員たちが見えた。銀行員は全員カウンターの中、男はカウンターの外だ。

「ドアの開く音に、やつがこっちを振り向いた。だが次の瞬間、やつはひょいとカウンターを乗り越えんだ。身のこなしが軽い。『逃げられる』そう思った俺はバッと駆けだした。何のためらいもなく銀行の奥へと逃げて行く男を追いかけた」

 警察への通報は異常発砲によるものだ。男が拳銃を持っているとわかっていたはずだが、追いかけた時に拳銃は見えなかったのだろうか?

「見えたけど、まったく怖くない。何も怖くなかったんだよね」

 彼はちょっと首を傾げながら、そう答えてくれた。拳銃に対する怖さはなかったという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト