国内

9回出撃で9回生きて帰った特攻兵「生還の秘密」

作家・演出家の鴻上尚史氏

「十死零生」──生き残る可能性はゼロ、といわれた特攻で、9回出撃し9回生きて帰ってきた特攻兵がいた。特攻隊員・佐々木友次(ともじ)はなぜ、生きて帰ることができたのか? その生涯に魅せられた作家・演出家の鴻上尚史氏が、生還の秘密に迫る。

 * * *
 帝国陸軍の特攻兵・佐々木友次は数奇な運命の持ち主だった。

 北海道出身で幼い頃から飛行機が大好きだった少年は乗員養成所を経て陸軍の下士官操縦士となり、弱冠21歳で陸軍最初の特攻隊『万朶(ばんだ)隊』の一員となった。

 戦況が悪化した昭和19年(1944年)10月、海軍と陸軍は最初の特攻隊を編成した。海軍のそれは『神風特別攻撃隊』と名づけられ、ゼロ戦に250kg爆弾を装備した。フィリピンを拠点とした陸軍の万朶隊は、九九式双発軽爆撃機(九九双軽)に800kg爆弾をくくりつけた。

 特攻はすなわち死を意味する。「特殊任務」の内容を知った佐々木は死を意識しつつ、日露戦争を生きのびた父の「人間は容易なことで死ぬもんじゃないぞ」との教えを思い浮かべた。

 そんな佐々木に大きな影響を与えたのが万朶隊隊長の岩本益臣(ますみ)だった。

 陸軍は何が何でも体当たり攻撃を成功させるべく、優秀なベテランを万朶隊に召集した。さらに九九双軽の機体に爆弾を縛りつけて「体当たり専用機」にした。

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン