国内

裏社会とマネロンと仮想通貨 犯罪収益の持ち出しが容易に

捜査にも力が入るが(写真はイメージ)

 今年2月に起きた仮想通貨交換業者コインチェックから580億円もの仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した問題が起きて、「仮想通貨」に対する関心が一気に高まったが、それ以前から裏社会では仮想通貨に熱視線が送られていたという。「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中の『ハスリンボーイ』原作を担当する草下シンヤ氏が、その“理由”についてレポートする。

 * * *
 1年ほど前、裏社会でしきりに聞いた言葉があった。

「ビットコインやってる?」「仮想通貨、やべーって」「マイニング始めようと思うんだけどどうかな?」

 話題は仮想通貨であった。その後、マスコミでも大きく報道されるようになり、周知のとおり、バブルと言われるような高値に達するようになったわけだが、裏社会の人間は仮想通貨に着目している者が多かった。

 中には、短期間で億り人になった者もいるし、その金を元手に裏稼業から足を洗い、合法的なビジネスを展開している者もいる。私も「絶対にやったほうがいい」と勧められたが、手を出すことはなかった。

 それは当時、仮想通貨に興味を持っていたほとんどの人間が、私の周囲に限っての話かもしれないが、犯罪者ばかりでなんともきな臭い話にしか見えなかったからである。裏社会の人間が惹かれていたのは、その高い投機性もあるが、それよりも「仮想通貨はマネロンに使える」という点だろう。

 犯罪というものは、その犯罪を達成させることも一苦労だが、そうして得た収益をきちんとした金として手元に残すことが非常に難しい。

 裏社会では「警察よりも怖いのは税務署だ」と言われることがある。犯罪収益も課税対象であるため、犯罪行為が明るみに出るとその収益が没収されるどころか、これまでにあげたであろう金額を計算され課税されるという懲罰的な措置がとられることもある。追徴課税は自己破産でも免責されないため、一生払い続けなければならない。

 水商売やパチンコ店、宗教法人などを用いたマネーロンダリングは広く行なわれているが、仮想通貨を活用する者も増えてきている。

 仮想通貨に対する各国の規制状況にはばらつきがあり、一部の国ではマネーロンダリングに使用されるとわかっていながら野放しにしている現状がある。それらの国にパイプがある犯罪組織はその国で仮想通貨を現金として引き出してしまえば、その金の行方を追うことはできない。ある暴力団関係者はこう語っていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン