「ズバリ、死語になりやすいのは新しい言葉や流行語です。こうした言葉ほど時代の淘汰に耐えられず、死にやすい」と話すのは、一橋大学などで非常勤講師を務める芸人で日本語学者のサンキュータツオさん。
例えば、本誌・女性セブンが10代~20代の男女200人にアンケートを取ったところ、「写メる」や「ダビングする」は死語ランキングが高かった。最初はごく新鮮に感じる言葉でも、時とともに色褪せていくと指摘する。
「新しい言葉や流行語はお笑いやメディアから生まれたり、それまでなかった新しい概念をネーミングしたり、既成語を組み合わせるなどのパターンで登場しますが、多くの人が口にするようになった瞬間から、死語への道が始まります。特に世のオジさんたちが居酒屋で使うようになると危険です」(サンキュータツオさん、以下「」内同)
一方で人口に膾炙(かいしゃ)した後、カタチを変えてしぶとく生き残る言葉もある。
「典型的なのが『〇〇力』や『〇〇婚』。こうした言葉は、語を作る力である“造語力”が強いので応用が効きます。今後は、『鍋パ(鍋パーティー)』『クリパ(クリスマスパーティー)』などの『〇〇パ』が生き残り候補ですね」
タツオさんが最近注目する若者言葉は、『ねむみ』や『うれしみ』だ。
「“眠い”“嬉しい”という感情の名詞形です。『私は眠いです』という一文をたった3文字で表現できるので効率がいい。少ない言葉で数多くの情報を伝えられるので、『〇〇み』という言葉は生き残ると思います。でもオジさんたちが居酒屋で酔っぱらって『よっぱみ』とか言い出したらアウトかな(苦笑)」
新しい言葉には「使ってみたいな」と思わせる魔力があることも事実。
「結局、言葉が広がるのは“最近の言葉を使ってみたいな”“テレビで聞いたあの言葉をしゃべってみたい”という欲求や好奇心があるからです。流行する言葉には、人々に“使いたい”と思わせる力があります」
新しい言葉や流行語には、「それはおかしい」など慎重さを求める向きもあるが、タツオさんはどんどん使っていくべきと話す。
「言葉は“こう使うべき”と押し付けた瞬間にハラスメントになります。言葉は時代とともに変わっていくものなので、できるだけ自由に使ってその進化を見届けたいですね」
※女性セブン2018年9月13日号