ライフ

内館牧子氏「すぐ死ぬんだから」は老人を老人たらしめる言葉

軽々しく「もう死ぬから」と言うのはダメなのか

〈六十代に入ったら、男も女も絶対に実年齢に見られてはならない〉

 すでに齢78を迎えたハナは、頑ななまでに自分にそう言い聞かせながら、長いか短いかもわからない「老い先」を生きていく──。

 脚本家・内館牧子氏(69)の小説『すぐ死ぬんだから』が売れている。8月下旬に発売され、べストセラーとなっている同書の帯には、〈人生100年時代の新「終活」小説!〉と綴られている。

 78歳の主人公・忍ハナは実年齢より10歳は若く見え、銀座を歩けば“お洒落なシニア”の街頭スナップのモデルを探す雑誌編集者に声をかけられるほど、ファッションや体型維持に気を使う女性だ。40年以上連れ添う夫の岩造は、麻布の老舗酒屋の跡取りで、ハナは酒屋の女将さんとして奔走したのち、息子・雪男に店を譲って夫ともどもリタイアした。気に入らないことと言えば、雪男の嫁が才能の感じられない画業にばかり没頭していることくらい。

 高校の同窓会で〈バアサンくささに磨きがかかっている〉同級生たちへの優越感に浸りながら、ハナは嫉妬と羨望を浴びる。だが、今を楽しむことに専念するハナは、ある日、岩造が自宅で倒れたことから、予想だにしなかった事実を知ることになる──。

 やはり大ベストセラーとなり、今年6月に舘ひろし(68)主演で映画化もされた前著『終わった人』では、63歳で定年を迎え、“毎日が大型連休”になった主人公・壮介の悲哀を描いた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン