芸能

有働アナの自虐発言はハラスメント世代にとって複雑?

『NEWS ZERO』の会見に白いスーツで挑んだ有働アナ

 作家の甘糟りり子氏が、現代の「ハラスメント社会」について考察する。今回は、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)のメインキャスターを務めることになった有働由美子アナの発言について。

 * * *
「若いアナ、キラキラした人たちと置屋の女将みたいな感じですが…」

 10月からメインキャスターを務めるニュース番組の製作会見で、有働由美子さんは共演する日本テレビの若いアナウンサーと自分を比べてそう語ったという。そのニュースを読んだ時、なんというか冷たくて柔らかいもので頬を叩かれた気がした。あぁ…、と思った。

 ダメでしょ、これは。でも、わかる、わかりますよ、その気持ち。

 女性の価値は「若さ」と「美しさ」だとなんの疑いもなく思い込んでいる男性への楽な対処法は、わかりやすく「中年女の自虐」を差し出すことだ。そういうばかばかしい価値観を理解している心の広さ、自分はその対象ではないと自覚している謙虚さ、その二つを演じることでその場をやり過ごせるわけ。

 私にも数え切れないほど覚えがある。だってめんどうくさいから。こっちだってそんなばかばかしい価値観にエネルギーを使って抗うほど暇ではない。だからその場限りの自虐でお茶を濁す。そのお茶の濁し方が雑であればあるほど「もののわかったいい女」扱いしてくる人だっているぐらいなのだ。

 有働由美子さんは49歳、私はその5歳上だから同世代とはいい切れないが、見てきた景色はだいたい同じようなものだろう。若い頃は、ただ若い女の子というだけで無意味にちやほやされ、当たり前のようにお酒のお酌を強要され、セクシュアルハラスメントなどという言葉も概念もなかった。

 飲み会はもちろん職場でも、ちょっとしたボディタッチで文句をいえる空気など微塵もなく、男性の中にはコミュニケーションの一つ、ぐらいにとらえている人もいた。そんな世の中で社会人になり、仕事を続けているうちに若い女の子ではなくなった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン