9月11日、若者や外国人観光客で溢れ返る東京・原宿の竹下通りにハンバーガーチェーンの新店舗がオープンした。「ウェンディーズ・ファーストキッチン」だ。もともと独立したハンバーガーチェーンとして40年以上の歴史がある両ブランドだが、2015年より、どちらの人気商品も食べられる“コラボ店”の展開を始め、竹下通り店はその39店舗目にあたる。
なぜ、この2社が共同出店をしているのか、簡単に経緯を説明しよう。
1969年にアメリカ・オハイヨ州に誕生したウェンディーズは、冷凍しない肉厚パティや、注文を受けてから作り始めるスタイルなどが支持され、マクドナルド、バーガーキングに次ぐ世界第3位のバーガーチェーンに成長。2017年末時点でも世界31か国、6634店を展開している。
日本進出は1980年。ダイエー創業者の中内功氏が米国視察時に惚れ込み、自社にドムドムバーガーを抱えながら、ウェンディーズとのフランチャイズ契約も締結。1990年代には全国100店舗体制まで拡大するも、ダイエーの経営悪化に伴い大量閉店を余儀なくされた挙げ句、2002年にゼンショーに売却した。だが、牛丼チェーン「すき家」が本業のゼンショーもウェンディーズの経営を安定させることができず、2009年に日本での展開をすべて終了させた。
そして、再進出を果たしたのは2011年。米国「ドミノ・ピザ」を日本に持ち込み、デリバリースタイルを定着させた立役者、ヒガ・インダストリーズ会長のアーネストM.比嘉氏がウェンディーズ合同会社を設立し、東京・表参道に再上陸させた。
一方のファーストキッチンは、サントリーが1977年に始めた日本発のバーガーレストラン。「ベーコンエッグバーガー」をはじめとする主力メニューのほか、フレーバーポテト、パスタやスイーツなど幅広いメニュー構成で女性客を多く掴み、店舗数は130店まで拡大。だが、経営資源を酒や飲料に集中したいサントリーが2016年にファーストキッチンの全株式をウェンディーズ・ジャパンに売却したことで、両ブランドの親会社が一緒になったというわけだ。
「ウェンディーズとファーストキッチンのコラボ店は、ビジネスモデルとしては面白いと思いましたが、当初はうまくいくのか懐疑的な見方もありました。でも、2つのブランドが重なることによって相乗効果が生まれ、幅広い客層にも来店いただけるようになりました。
結果的に、ファーストキッチン単独店舗からウェンディーズとのコラボ店に転換した店はどこも売り上げが大きく伸び、中には3倍になった店もあります。これは行ける! と成功を確信しました」
こうオープン前の原宿店内で自信を見せたのは、両チェーンの社長を兼務する紫関修氏(57)。じつは同氏は長年ハンバーガー業界をはじめ、数々の企業を渡り歩いてきた、いわば“プロ経営者”だ。