さらに、13、14日に南京市で予定されていた「民衆の敵」公演について、南京市の劇場側は8日、ドイツ側に電話で「舞台設備が不備」などとして「上演を中止したい」と伝えた。10日には公演チケットの販売が中止となり、すでに購入した観客に対して払い戻しがなされたという。
劇団のファイト総監督は米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の取材に対して、2014年以降北京、天津、上海など中国各地で公演を行ってきたが、「上演の中止は今回が初めてだ」と語ったうえで「『舞台設備がなくても上演できる』と劇場側に提案したが、劇場側は『当局の判断で中止が決まったので、どうしようもない』と言っていた」と明かした。
駐中国ドイツ大使館は中国文化省に対して、公演中止について遺憾の意を表明。VOAは「136年前に創作されたイプセンの名作『民衆の敵』が中国の現状と重なり、中国当局の警戒心を高めてしまったようだ」と指摘している。