国際情報

イプセンの『民衆の敵』が中国で上演中止 当局の検閲か

世界的名作が検閲の餌食に?

「近代演劇の父」とも称されるノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンの代表作の一つ『民衆の敵』の上演を予定していた中国・江蘇省南京市の劇場は突然、「9月13日と14日の上演を中止する」と発表していたことが明らかになった。

「民衆の敵」は温泉の発見に沸くノルウェーの田舎町で、温泉に製革工場の廃液が流れ込んでいることが分かり、町の医師が温泉の使用中止を進言するが、町長は費用がかかることを理由に拒否。医師は町民の健康被害を警告するが、町民から疎まれる存在になり、医師の一家は町で孤立する──という物語。

 米紙「ニューヨーク・タイムズ」は「中国当局は演劇が中国の環境汚染問題につながる敏感なテーマとみなして公演を中止させた」と伝え、世界的な名作も当局の検閲にひっかかり、表現の自由がいとも簡単に奪われたなどと批判している。

 中国での公演はドイツの代表的な劇団である「シャウビューネ劇場」が上演。同劇団は2012年から世界各地で『民衆の敵』の上演をしており、今年も9月6日~8日の日程で、北京市の国家大劇院(国立劇場)で公演を行った。

 公演初日の上演後、出演者と観客の交流会が開かれ、出演者から「環境汚染の真相を公表したいという主人公の考えに賛成するかどうか」という質問が出ると、「中国にも環境汚染問題がある」「(中国に)言論の自由がないことが大きな問題だ」との声が多数上がったという。

 その後、劇団側には国家大劇院側から「翌日から交流会は中止するように」との指示が伝えられ、2日、3日目の交流会は行われなかったという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/五十嵐美弥)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン