昔は自分たちのほうが、かがやいていた。だが、今は東京におくれをとっている。こういう想いなら、大阪の人びともいだいている。

 じっさい、旧幕時代に大阪の経済力は、江戸を凌駕していた。二〇世紀のなかばごろまでは、東京と互角にはりあってもいただろう。だが、二〇世紀の後半に、大阪はその地位をてばなした。今の経済指標を東京と大阪でくらべれば、十対一ぐらいになっていよう。

 大阪に本社をおいていた大企業も、たいていその拠点を東京へうつしている。大阪は、ここ半世紀ほどの間で、多くの本社を東京にうばわれた。かつて大阪にあった本社は、その多くが大阪支社になっている。まあ、名目的に大阪本社という名をたもたせている東京への移転組も、なくはないのだが。

 多くの業種で、優秀な人材は東京へあつまるようになった。大阪はおきざりにされている。そういった社会情勢が要因となって、大阪における東京への反発は増幅されてきた。東京批判の言い草も、劣位におかれた者がきしませるごまめの歯軋りだと言ってよい。

 東京にたいして、強がってみせる。その言いっぷりは、けっきょくのところ引かれ者の小唄でしかない。この点で、京都と大阪に浮上する反東京論的な言辞は、たがいにつうじあう。質はちがうが、似たようなものだと言ってよい。

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