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早稲田大学の校歌を鼻で笑う一部の「京都至上主義者」

今でも東京出張を「東下り」と言う京都人もいる(時事通信フォト)

「アンチ東京」では通じ合える京都と大阪だが、実はお互いに反目し合っているという。一筋縄ではいかない関西人の「東京ぎらい」を、国際日本文化研究センター教授の井上章一氏が独自の視点から読み解く。

 * * *
 京都の洛中には、東京をあなどりたがる人びとが、少なからずいる。たとえば、彼らは東京への出張を、しばしば「東下り」と言いあらわす。

〈このあいだ仕事で、東京へ行ってきたんや。えらい、つかれたわ〉
〈東下りか、そら、御苦労さんやったな〉

 以上のようなやりとりを往来で耳にすることが、ままある。この街は、京都が都であった時代の「関東下向」という観念を、まだなくしていない。

 実際には、彼らも東京へ行く場合、たいてい新幹線をつかっている。その「上り」にのってきた。「上り」を利用しつつ、「東下り」と言いたがるのは、一種の負けおしみであろう。だが、そういうくやしまぎれの自尊心は、今なお健在である。

 早稲田大学の校歌をいぶかしがって見せる町衆とも、でくわすことがある。

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