◆社員を「大人扱い」できる理由
ところで「仕事がすべて」というと、人事評価が厳しく、目標達成が強く求められるように思われるが、必ずしもそうではない。
たとえば相対評価や細かくランクづけするような評価は近年あまり流行っていない。そのかわりに、同僚や部下など複数の仕事関係者によって多面的に評価する、日本でいう「360度評価」が主流になりつつある。
もっとも評価する人を自分で選んで依頼できるし、評価がよければ臨時ボーナスがもらえたり、プロモーション(昇進)につながったりする。また成果があがらず、会社を辞めていく(辞めさせられる)人もあまりいないそうだ。
ひと言でいえば、社員を「大人扱い」しているわけである。それにはいくつかの理由がある。
一つは、クリエイティブな仕事だけに、そもそも自発的・自律的に働かなければ成果があがらないからだ。細かく管理することや、無用の制約を設けることの弊害をよく理解しているためだといえよう。
二つ目は、一人ひとりの役割が明確になっていること。もちろん個人で完結する仕事ばかりではなく、むしろチームで行う仕事が多い。それでも個人の役割が明確なので、工夫をすればいろいろな働き方ができる。
そして三つ目に、入り口(採用)のところでしっかりと能力や適性を見極めていることがあげられる。
社員を採用する際には、主に他社での実績がある人を採る。新卒で採用する場合にも半年とか1年といった長期のインターンシップで能力と適性を見極める。だから「ハズレ」が少ないのである。そして「大人扱い」できる。