「がん研有明病院の福長洋介医師の手術は“芸術的”といわれるほど洗練されていて、腹腔鏡手術のレベルではトップクラス。ほかには大阪医科大学附属病院の奥田準二医師は25年以上腹腔鏡手術を専門にやっている。年間手術数も全国で5本の指に入る医者です」
転移した進行がんの場合、開腹手術や別の治療法が必要なこともある。
「大阪国際がんセンターの大植雅之医師は、開腹手術が得意で、他の病院では治療が困難な進行がんの患者でも積極的に手術していく。腹腔鏡ではできない患者さんは、こちらの病院の方がいい。手術では西日本のトップです」(松井さん)
そうした東京、大阪の病院には通えない患者もいる。どうすればいいか。
「専門医にかかるのは大前提として、日本消化器内視鏡学会の指導医、専門医がいる病院は、5年生存率が高い。彼らの在籍の有無が1つの指標になります」(松井さん)
北海道1位の北見赤十字病院は4人、四国1位の香川県立中央病院には8人の学会認定医がいる。
こちらも各病院のホームページを見れば認定医の在籍が確認できるので、参考にしてほしい。
◆各地の1位を受診する方法
最後に、女性の罹患率3位の「胃がん」。死亡率では4位にランクされる。最近、早期の胃がんでは、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という内視鏡による治療法が増えている。
「従来の内視鏡手術ではスネアと呼ばれるループ状のワイヤーで腫瘍の根元を絞めるようにして腫瘍を切除するのですが、これだと2cm以下の腫瘍しか摘出できませんでした。しかし、ESDでは腫瘍の周りをナイフで剥ぎ取るように切除するので、15cmほどの大きな腫瘍でも摘出できるようになりました。ただ、この技術は難しく、内視鏡が得意な病院でないとできません」(松井さん)
ESDの手術数が多い施設は、生存率も高い。各地域のESD手術数上位の施設は、東北では岩手医科大学附属病院、中国では広島大学病院、九州では九州大学病院など、すべて生存率でも上位である。
※女性セブン2018年10月11日号