今、全国の郵便局などで激売れしている“傘”がある。その数、なんと約20万本! “あえて折れる構造”や“郵便局で売る”という新感覚の発想に、ヒットの仕掛けが隠されていた!
『ポキッと折れるんです』は、全国の郵便局4500局以上で販売され、現在20万本を突破。「郵便局で傘?」と、それだけで不思議なのに、製造しているのは石けんや化粧品の通販会社・長寿乃里というから、さらに驚き。その理由について同社の真柄考幸さんに話を聞くと、
「弊社の化粧品は完全無添加にこだわっていて、原料はすべて天然由来。自然環境を守ることは弊社の重要な理念なのです。そこで注目したのが“傘の環境問題”でした」
現在、日本における傘の年間消費数は約1億3000万本(※日本洋傘振興協議会調べ)で、その大部分をビニール傘が占めている。使い捨てが当たり前になったが、傘は素材別に分解するのが困難で埋め立て処分されるため、環境破壊につながると指摘される。
「あえて骨が折れる構造で、強風でも壊れずに何度も繰り返し使える傘を開発しました。“郵便局で傘”という意外性で、興味を持ってもらい、構造にも納得して買っていただけるのは大きな強みです」(真柄さん)
風に耐えるのではなく、風速約15mであえて骨が外側に折れる仕組みに。骨が折れたら、傘を一度閉じて骨を元に戻すだけ、それから開けば簡単に元通り。真柄さんは「傘のポイ捨てが少しでも減ることが私たちの夢なんです」と語る。安全・エコな傘は、50代女性を中心に売れているという。
撮影/田中宏幸
※女性セブン2018年10月11日号