国内

就活セミナーの闇 学生インフルエンサーの「裏バイト」蔓延

会社説明会を盛況にするための禁じ手も

 スマホとSNSが普及したことで、口コミを偏重する不思議な風潮が生まれている。学生の就職活動についても同じような現象が起きていて、それを利用した裏バイトが学生インフルエンサーの間で広がっている。いまは2020年卒の学生たちがインターンシップなどに取り組み、来年春に始まる企業説明会やセミナーなどの情報を一学年上の先輩から得ている頃だろう。ライターの森鷹久氏が、企業セミナーに出席するサクラが増えた経緯と、サクラになったインフルエンサーたちの本音をレポートする。

 * * *
「とにかく人が集まりません。学歴フィルター云々と言っているのは、超一流企業と、そんな企業にエントリーする一流大の学生たち。私たちとしては、なりふり構わず学生を集めるしかないのです」

 こう語るのは、東京都某区にある中堅商社の採用担当者・M氏。昨年、一昨年と十数名の新卒採用枠を設けたが、実際に入社したのは10名にも満たなかった。採用担当者として上司からは「集め方が悪いのではないか」と叱責され、あらゆる就職サイトの担当者とも協議を重ねてきたが、インターン応募者も、採用試験応募者も一向に伸びない。「人不足」を肌で実感せざるを得ない状況の中で、とある広告代理店から持ち掛けられた“秘策”に、M氏は茫然とした。

「そこまでしないと人は来ないのかと…。あまり気は進みませんでしたが、背に腹は代えられずやってみると、確かに人が来たのです。私としては本当にうれしかったが、正しいことなのかと問われると、まあ…」(M氏)

 その“秘策”とは、会社説明会などにサクラを雇うという禁断の手法だった。

 サクラ達は、ただ頭数をそろえるだけでは意味がない。ネット社会で「インフルエンサー」とも呼ばれる、モデルや芸能活動をしたことがある人、ブロガーやサークルの代表として活躍する学生たちにサクラになってもらうのだ。彼らは、SNSなどで多くのフォロワーを持ち影響力がある。その口コミによって説明会に人を呼び込む、という寸法だったというのだが…。

「いくら費用がかかったか…多くは言えませんが、以前よりだいぶかかったとだけ…。でも、彼らの影響力は本当にすごい。一人のインフルエンサーが弊社についてのポジティブな情報をSNSで発信し、会社説明会に行くと投稿すると、そこには”私も行く、俺も行く”との返信が相次ぎました。そしてそのうちのほぼ半数以上が、実際に説明会に参加した。すごいことです」(Mさん)

 当初、Mさんはこのやり方について大いに疑問を抱いていたが、実際にたくさんの学生が会社に来て、説明会に参加した後には「きっかけは何でもいい」と考えるようになった。インフルエンサーは単なるサクラではなく、人を呼び込むための「コンサルタント」とも言えるのではないか、筆者にそう思いを吐露するまでになったのだ。

関連記事

トピックス

解散を発表したTOKIO(HPより)
《TOKIO解散には迷いなし?》松岡昌宏、「男気会見」で隠せなかった本音 唯一違った“足の動き”を見せた質問とは?
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン