さらに、こうした「事情」を知った学生の中から、さらなる強者が産まれている。有名私大四年のIさんもまた、すでに大手広告代理店から内定を得ている立場であるが、“先輩”からのあっせんにより、多くの企業にエントリーしたり、説明会に参加して、割の良いアルバイトをこなしていると明かす。

「内定先の先輩から頼まれて、企業の説明会に参加したり、エントリーしたりして一件につき五千円くらい貰っています。エントリーだけでもらえることもあれば、説明会に行ったり、実際に採用試験を受けて、もっと多くのバイト代もらえることもあります。友達を連れて行けばさらに金額が増えますね。SNSの友人限定の投稿で募集して、10人から20人くらいが集まります。悪いことかって言われると…うーん、社会勉強って感じですかね」(Iさん)

 つい先日も「遺伝子組み換え食品」に関するイベントに関し、複数の「サクラ」とみられる学生が、遺伝子組み換え食品について肯定的かつ紋切り型の…いや単なる「コピペ」にしか見えない投稿をSNS上に上げていたのではないか、そんな疑惑が話題になった。

 SNSの世界での強者はフォロワーが多いインフルエンサーで、そのインフルエンサーによる発信がステマ(※ステルスマーケティング、広告であることを伏せた宣伝)であろうがなかろうが、強い者やそれに近い者だけは真実の情報をつかんで生き残る。インフルエンサーの情報を疑わずに従うだけのフォロワーは、偽りの情報に人生まで振り回される可能性があるが、それには気づいていない。

 かつて、ある家電製品の使い心地の良さを語った芸能人ブログのエントリーが、実は広告料をもらった宣伝だったとわかったとき、世間はブログを書いた芸能人に対する非難一色になった。それからしばらくの間は、広告だと告げないネット投稿を、読者はもちろん、広告主も敬遠した。ところが、スマホとSNSがコミュニケーションツールとしての比重を増してきた最近では、この、ずるい広告に対して鈍感になってきてはいないか。

 そしていま再び、目につき始めたインフルエンサーを利用した「サクラ」を呼び込むフェアではない手法は、広告会社やPR会社を通じたオーダーということで「プロモーション代金」という名前に化ける。この、いかにもきれいな名目で決済ができるからか、広告主側の感覚までもがマヒしているといった実情でさえ散見されるのだ。

 情報強者は強者とだけ組み、富める者は富むが、情報弱者は弱者のまま、持たざる者はさらに無くしていくといった様相だ。階層化を固定するようなこの傾向は、この社会が内側で食い合うだけであり、犯罪者にも簡単に悪用される。社会に出る前の現役の学生諸君に、目の前に危機が迫っていることを、ぜひ知っておいてほしいところだ。

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン