というのも、X工業は酒井と賃貸借契約を締結したことはないと主張しているが、酒井側は、T氏の署名が入った〈賃料を月10万円〉とする旨を記した賃貸借契約書を証拠として提出した。契約に基づいて賃料を支払っていると主張している。
両者の言い分は真っ向から食い違い、裁判は泥沼化の様相を呈している。さらに、酒井側はT氏に対し、これまで総額1億2500万円を貸し付けているという話を持ち出し、この〈金銭問題を解決すべく(中略)別訴を提起し、本件と同時の審理を求める〉(答弁書より)とも主張。X工業側はこれを〈本件建物の明け渡しとは全く関係のない与太話〉とし、返す刀で、〈被告の長期間の不法占有による多大な経済的損失を鑑み、損害賠償請求訴訟を別途準備〉しているという。
X工業社長でT氏の長男であるY氏に取材を申し込んだが「何も話すことはない」と回答。酒井の所属事務所も、「係争中のためコメントできない」とするのみだった。
泥沼訴訟は“マンモスうれピー”結末には程遠そうだ。
※週刊ポスト2018年10月26日号