「大下さんたちの負債は、守秘義務違反や報酬の水増し請求分、また会社代表印を勝手に持ち出して不動産契約をした分などきちんと根拠のあるものです。
オフィスに泊まり込んだことも、私が強制したわけではなく、彼らが家賃を節約するために、彼ら自身で選択したこと。
スマートフォンのGPSでスタッフの居場所を確認したことはありましたが、それは過去に行なわれた不正な水増し請求が繰り返されないためで、『プライベートのときはオフにしてもいい』と話していました。3~4年前、オフィスの入り口にカメラを設置していたことはありましたが、来客の顔認識用で、オフィスの執務室のほうは向いていません。
一晩中LINEを送らせたとの指摘ですが、これも彼らが自発的にしたことで、強制などしていません。
乾燥大豆については、たしかに事務所に置いておきましたが、これを食べることを強制したということはまったくありません。スタッフのことは家族のように思っていました」
両者の主張は真っ向から食い違うが、裁判所はどう判断するのだろうか。パワハラなどの労働問題に詳しい和田金法律事務所の渡邊寛弁護士が解説する。
「この裁判の争点は、被告から原告への要求が『過度』または『過大』であったかどうかです。例えば、GPSによる勤務状態の管理は、業務中に限れば認められます。しかし、業務時間外にまで及ぶ過大な管理だと認められれば法律に抵触する場合があります。LINEで業務内容について報告を要求する場合は、その頻度が仕事上必要な業務を行なううえで過度だったと判断されれば、パワハラだと認められる可能性があるでしょう。
社会の変化にともない、スマホやSNSなどの使用がかかわるパワハラ事例が増えてきている。これらは証拠に残りやすいため、パワハラの有無を判断する根拠として採用されやすいという特徴があります」
ビ・ハイアは公式ホームページ(http://be-higher.jp/)で〈まだ訴状が送達されておらず、ネット報道の範囲でしか事実を把握しておりません〉としたうえで〈訴状を仔細に検討したうえ、法廷内外で、事実に基づき、事実無根の主張や記述に反論してまいります〉としている。