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「尊厳死宣言」は逮捕恐れる医師にとっても「救い」となり得る

「尊厳死宣言」申告マニュアル

 日本公証人連合会が、ある調査結果を発表した。今年1~7月に、公証役場で作成された『尊厳死宣言公正証書』(以下、尊厳死宣言)の数が、983件にのぼったという。

 そもそも、公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が作成する文書のことだ。金銭貸借を含む各種契約や、遺言などの内容を公証人が証明することにより、法的な紛争を未然に防ぐことを目的としている。

 そこで作成される尊厳死宣言には一体どんな役割があるのか。優オフィスグループ代表で、行政書士の東優氏が解説する。

「尊厳死宣言は、終末期に延命治療を望まない意思を、公証人の前で宣言する文書です。法的な拘束力はありませんが、家族や医療機関などに対して自分の意思を表明できるものです」

 尊厳死宣言は、本人や家族はもちろん、医師の側から見ても大きな意味を持つ。日本尊厳死協会関東甲信越支部理事で杉浦医院院長の杉浦敏之氏がいう。

「10年ほど前までは、尊厳死の意思表明があっても、治療を続けようとする医師が多かったように思います。

 最近は尊厳死への理解も深まって、本人の意思が確認できるようなら、尊重しようという医師も増えていますが、延命治療をしないのは、“命を救う”という医師の本懐に反する行為です。治療を続けたい気持ちが強い医師もいる。公正証書の存在は、そうした医師への説得材料にもなり得るのです」

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