サッポロの島田淳・スピリッツ事業部長によると、研究所で独自に検証したデータでは、デュワーズは、競合スコッチに比べてフルーティさで上回り、逆にピーティ(燻香)さやスパイシーさでは下回る結果になったという。どの指標もまんべんなく平均値で、味わいにバランスの良さがある点を売りにしているそうだ。
筆者が試飲した印象では、確かにバランスの良さを実感できて飲みやすく感じた半面、何か強い特徴を求める人には、やや物足りないかもしれないと感じた。
だが、ジャンルは違うが、サントリー食品インターナショナルから出してヒットした、ペットボトルコーヒーの「クラフト ボス」が「従来の缶コーヒー愛飲者から見れば明らかに味が薄く、水っぽい」(業界関係者)と言われたものの、逆にそれが若年層に刺さったように、デュワーズのハイボールも、若い世代に浸透する可能性はありそうだ。
実際、米国ではハイボールといえばデュワーズが最も人気ある銘柄で、比較的年齢が高めの飲用者が多いというが、日本では一転、若年層がコアターゲットだという。
「もともと、ほかのスコッチブランドに比べて20代、30代の飲用者が多い。日本ではいい意味であまり手垢がついていなくて、若い人たちには新しいブランドというイメージがあるのではないか」(柴田宗紀・バカルディジャパンマーケティング部ブランドマネージャー)
サッポロ幹部によれば、デュワーズハイボールは銀座のバーで「一番作りやすい」と好評で、営業トークでは“バーテンダー支持ナンバーワンハイボール”と謳っているという。果たしてもくろみ通りに若年層の支持を広げ、ウイスキー人気を高めることができるか。
●取材・文/河野圭祐(ジャーナリスト)