国際情報

中国「継母が7歳児童を虐待」に懲役16年判決の衝撃

虐待は発覚しにくい問題(写真:アフロ)

 虐待の実態と、抑止力ともなるべき法整備にはまだまだ乖離があると言わざるを得ない。構図は中国でも同様だ。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 子供を虐待する親のニュースは、日本でも頻繁に報じられる。親しか頼ることのできない無力な子供に「教育」と称して殴打し、不当な罰を与えるのは、実の親の場合もあるが、目立つのは実母の交際相手や再婚相手が加害者となるケースだ。

 親子とはいえ血がつながっていないのだから、子育てにかかる大きなエネルギーを考えれば、子供の存在を疎ましく感じることは当初から警戒しなければならないことなのかもしれない。

 さて、今回、中国で大きな話題となったのは継母による7歳の児童への虐待だ。10月末から11月の頭にかけて多くのメディアが大々的に報じた。

 その一つ、『中国新聞網』が10月31日付で報じた記事の見出しは、〈7歳の男児が継母による1年7ヵ月もの長き虐待により植物人間に 継母への判決は16年〉である。

 10月30日に陝西省渭南市人民法院が下した判決を受けての報道だ。加害者が継母というのは、男親が両親と結託して妻に親権を渡さないという中国の事情が影響している。

 法廷で明らかにされた男児への虐待は、長時間立たせたり、跪かせることに始まり、電気コードで縛りつけたり竹の棒で殴打するというもので、いずれも「教育」の一環という説明だった。

 虐待の発覚は、男児がバスルームで2回転び、頭を打ち付けたということだった。そして最終的に男児はタイトルにあるような重症となった。

 加害者の継母は、法廷ではほとんど何も話そうとしなかったが、立たせたり跪かせるといった行為も20分程度だとし、殴打も激しくしたことはないと主張した。だが、病院に搬送された当時、男児の頭蓋骨は75%が損傷し、両目もともに網膜剥離状態であったことの説明を求められると口を閉ざした。また男児が長期間にわたり極度の栄養失調状態であったことについても明確な答えはなかったのである。

 2017年11月14日付『法制日報』では、年々増加する児童虐待に対する法整備の必要性を特集で伝えているが、そのなかで中国には独立した「児童虐待罪がない」として早期の制定を呼び掛けている。

関連キーワード

トピックス

12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
「どうして卒業できないんだろう…」田村瑠奈被告(30)の母親が話した“大きな後悔” 娘の不登校に焦り吐露した瞬間【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン