ふく子先生には、「佳子さん、あなた90才の役をやりたいの?」って驚かれました。女優というものは、少しでも若く見せたい、年をとっても、もうちょっと若い年代の役をやりたいと言うのが普通なのに、って。「自分から『九十歳』というタイトルの舞台をやりたい、というその心意気。引き受けましょう。佐藤先生に恥をかかせることのない、できる限りの演出をして、良い舞台にするわ」。すでに受けておられた仕事を横に置いてもやる、と言ってくださいました。
ふく子先生のお返事もいただけたので、もう一度、愛子先生に電話して、「そういうことですので、やらせていただけますか」とお願いしたら、快く「どうぞ」って。
「でもあなたは品がいいから、私の役をおやりになるのはちょっと無理じゃない?」ともおっしゃって。とんでもない、世の中に、佐藤愛子先生ほど品のいい、毅然としたかたはいらっしゃらないですよ。姿勢も正しくて、その姿勢の通りにまっすぐ、嘘なく生きておられる。「先生は私なんかの数倍、美しいですよ」と申し上げたら笑ってらしたけど。
◇朗読劇『九十歳。何がめでたい』開催情報
・11月30日、12月1日=明治座 ・12月2日=富山県民会館・
・12月13日=グランシップ中ホール・大地 ・12月17日=新歌舞伎座 ・12月20日=ホクト文化ホール ・12月22日=刈谷市総合文化センター大ホール ・12月24日=やまぎんホール
※女性セブン2018年11月29日・12月6日号