そこから次の一歩を出す際には、足を踏み出す側の腰を一緒に前方に押し出す。
「同じ側の手と足が同時に前に出るように思えるかもしれませんが、正しくは肩を少し先に前に出すかたちになります。普通の歩き方だと膝を曲げてしまいますが、この歩き方では膝はほとんど曲がらない。“みぞおちから下が一直線の足になっている”というようなイメージなのですが、なかなかお伝えするのが難しい」(小林氏)
実際に記者も挑戦した。当初はロボットのようにぎこちない動きに四苦八苦したものの、2日目にして、以前は固かった骨盤の周辺の筋肉が以前よりスムーズに動き出すのを感じた。大腰筋を意識できるようになると、歩いた後に体の内側に宿るほてりが心地よくも感じるようになる。小林氏がいう。
「骨盤を上手に使った質のよい歩き方をすれば、1日に何万歩も歩くより自然に必要な筋肉を鍛えることができます。膝への負担も軽くなり、無理なく健康長寿を実現することができると考えています」
最先端スポーツ科学をもとに考案された歩き方。挑戦する価値はありそうだ。
※週刊ポスト2018年11月30日号