「当時10~20代だった彼らのファンも、今は60~70代。つまり、この辺りの視聴者を取ろうという計算なんでしょう。本人がVTR出演した小坂明子の『あなた』がヒットしたのは1974年。10代、20代はおろか、30代や40代だって馴染みがないかもしれない。はじめから、その世代に見てもらおうという意図はあまりないのかもしれません」
驚いたことに、同番組のスタジオで歌唱したのはB.Bクイーンズの『おどるポンポコリン』だけ。あとの歌は全て過去のVTRだった。
「過去のVTRを細切れにしたほうが、目先を変えることができるので、視聴者も留まってくれる。いくら懐メロが人気あるといっても、1曲をフルで歌う歌手が何人も出てくると、チャンネルを替えられてしまう。そうした意味で、多くの歌手ゲストを呼ぶと逆に数字が見込めなくなるという計算から、そのような構成にしたのでしょう」
同番組に限らず、昨今の音楽特番の多くは“懐メロ”全盛の印象だ。そこには、若年層にも見てもらいたいと思いながらも、それでは数字が取れないという制作サイドのジレンマが垣間見える。“若者のテレビ離れ”は音楽番組にも大きな影響を与えているようだ。