出稼ぎ目的の「ニセ留学生」はこうして日本にやってくる
この時期を狙い、政府が留学生の就職条件緩和に踏み切ったのには理由がある。2012年頃から急増し始めた留学生たちが、日本語学校から専門学校、大学を経て、これから続々と卒業、就職の時期を迎えるのだ。
大学を卒業した留学生の就職には、「年収300万円以上の仕事」という制限だけが残る。つまり、現状では認めていない「単純労働」への就職も可能となる。
専門学校の卒業生には「クールジャパン」関連という条件こそあるが、具体的な職種までは定義されていない。「日本の弁当文化を学びたい」「牛丼を母国で広めたい」といった理由で、弁当工場や牛丼チェーンに就職できる可能性もある。そうなれば、留学生としてアルバイトで働いていた現場で、今度は社員となって仕事もできる。政府は「優秀な外国人材」という詭弁を使い、これまで通り“偽装留学生”を単純労働者として活用したいのかもしれない。そもそも外国人労働者を最も欲しているのはホワイトカラーの職種ではなく、単純労働の現場なのだ。
ひとたび留学生が就職すれば、ビザの更新は難しくはない。就職緩和策は“偽装留学生”の「移民化」にも通じる。だが、日本語が不自由な彼らにはキャリアアップも望めず、移民となっても社会の底辺に固定されかねない。人手不足が緩和されれば、最初に職を失うのも彼らだろう。治安にも影響しかねない。
その兆候はすでにある。外国人の不法残留は今年1月1日時点で6万6498人を数え、4年連続で増加した。うちベトナム人は前年から30%以上も増加して6760人、元留学生の不法残留者も4100人に及ぶ。外国人犯罪の検挙件数も2017年には1万7006件と、前年から約20%増加した。とりわけベトナム人は約3割の5140件に関わり、国籍別に中国を抜いてトップとなった。こうした不法残留や犯罪の増加には、明らかに“偽装留学生”の急増が影響している。