驚くほど細かく作り込んでいる「電気検測車」の模型
「当時、飯田線には『旧型国電』と呼ばれる車両がまだ走っていたんです。車内はニスを塗った木の車両。昭和20年より前に作られた古い車両ですが、それが飯田線に残っていて、いよいよ引退を待つばかりになり、それを記録したいと思ったんです。
その頃の車両って1両1両、どこかしら形が微妙に違うんです。それが全部で53両あると言われていたので、それらをすべて記録するために通い詰めました。当時、現場で働いていた人には、『お前ら、また来たのか』とか言われていましたね(笑)。飯田線は200km弱の中に90個以上の駅があるのですが、全ての駅で降りました」
その後、旧型国電は引退。撮影した写真をもとに、模型で再現した小川さん。その作品は鉄道模型の専門誌にも大きな写真で取り上げられたほどだ。
かつては東横線の運転士を務めた小川さんに、社員から見た「東急沿線から見えるお気に入りの景色」を聞いた。
「東横線ですと、多摩川の鉄橋から見える富士山は良いですね。東急は街中や住宅街を走っているのでビルやマンションであまり眺望が望める場所がないのですが、富士山を見るとホッとしますし、初冠雪などを見ると、季節を感じられます。
目黒線の大岡山から奥沢に向かう途中にも、ほんの一瞬、富士山が見える場所があります。本当に進行方向の真正面で、運転席の真後ろにかぶりつきなら天気がいい日は見ることができると思います。
それから『こどもの国線』の沿線はまだ自然が残っていて、車窓から稲刈りをした後の季節に“はざかけ”が見えるのもオススメですね」