細川内閣から小泉内閣まで足かけ10年以上にわたって歴代政権の規制改革分野の審議会トップに君臨し、「政商」と呼ばれたのがオリックス元会長で現シニア・チェアマンの宮内義彦氏(83)である。
宮内氏が最初に政府の審議会に加わったのは細川内閣時代、第3次行革審の「豊かな暮らし部会」の委員だった。当時のオリックスはまだリース業が中心だった。
「行政改革」を旗印に掲げた橋本内閣時代に規制緩和小委員会の座長に就任すると、宮内氏は小渕内閣、森内閣、小泉内閣と規制改革分野のトップを続け、それまでなかった審議会を利用したビジネスモデルをつくりあげる。
とくに小泉内閣は米国から郵政民営化をはじめ規制緩和による日本の市場開放を強く迫られ、国内では反対する政官財の強い抵抗を受けていた。それだけに強引ともいえる規制緩和で自ら新市場を切り拓いていく宮内氏は、「小泉首相にとって“神様、仏様、宮内様”ともいえる存在」(小泉ブレーン)となっていた。
『サラリーマン政商 宮内義彦の光と影』の著作がある森功氏がいう。
「産業が成熟して成長が鈍化したときに、規制を緩和すればそこに新たな産業が生まれるというのが米国流の考え方。宮内氏はどの分野の規制を緩和するかを自分の会社や業界団体から提案させ、政府の総合規制改革会議議長の立場で実施を決める。そして生まれた市場にオリックスが参入する」