佐藤:私は『ゴルゴ13』を読み直して、「聖書」を想起しました。聖書の冒頭は、「創世記」。神の天地創造から始まります。これは皆知っていると思うのですが、聖書のラストがどうなっているのか意外と知られていません。最後の「ヨハネの黙示録」で、イエス・キリストは「わたしはすぐに来る」という言葉を残して天に昇っていきます。
でも何年待っても戻ってこない。イエス・キリストが死んだのは紀元30年頃ですが、それから2000年も経つのに、一向に戻ってこない。このことを神学の専門用語で「終末遅延」というのですが、ゴルゴにも終末遅延が起きている(笑)。といっても『ゴルゴ13』はまだ50年です。まだまだ続けていただかないと。
※佐藤優、さいとう・たかを・著/『ゴルゴ13×佐藤優 Gのインテリジェンス』より