ライフ

落合陽一「お金があれば幸せ、という観念は変化していく」

“ゼロヒャク教科書”を上梓した落合陽一氏

 新たな時代を牽引するキーパーソンとして、各界から注目を集める落合陽一氏。新著『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』では、人生100年時代を生きる上で必要な“スキル”について説いている。落合氏曰く、今後生きていくのが大変になるのは「自分自身で価値をつけられない“何者でもない人”」であり、「お金があれば幸せになれるといった観念も今後は変わっていく」「お金はパラメーターにすぎない」という。その意味するところとは──。

 * * *
 組織に所属して給料をもらわないと食べていけないという考え方は、近代の弊害だと思っています。今の日本には定職に就かなくても生活費を稼ぐ方法がたくさんあります。人口密集部とそれ以外で大きな差はあるものの、移動さえできれば仕事は見つかる。会社勤めの仕事をしないと生きていけない。お金があれば幸せになれる。貯金がないと不幸になる。そう教育されているだけです。

 今後はそういった観念も変わってくるはずです。今のお金と労働は実際のところリンクしていませんが、教育の影響でいつのまにか関係があるように信じ込まされています。金融商品や仮想通貨を扱って身銭を切って練習すれば誰でもやがて実感すると思いますが、お金はただのパラメーターです。大勢の人が価値があると思い込んでいるから、社会的に価値があるとされているだけです。

 労働の価値はお金だけで判断されるものではないし、動機づけとして金銭を超えたところにやりがいを見いだせる人は、これから人材としての価値が高くなると思います。

 オリンピックのアスリートを見るとわかりやすいでしょう。お金をもらうためではなく、目標を成し遂げるためにやらなければならないことをひたむきにやっている。自分がやりたいことを本気でやっている人にしか生み出せない価値があることに気づかされます。その視点は、永い集中と反復によって得られた固有のものの場合が多いからです。

 仕事について考える時に、もらえるお金のことを第一に考えてしまうのはなぜでしょうか。それは物事の本質的な価値を伝えたり、本当にやりたいことを考える余地を与えない教育の影響もあると思います。

 近代の教育は、基本的には均一化・標準化を指向します。いい大学に入り大きな会社に就職することが幸せであると信じ込ませる。そんな価値観に染まった子供に、自分が本当にやりたいことがわかるはずがありません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン