“別の医師に意見を求めた後で、また主治医に頼むなんて失礼なのでは”と思う患者は多いが、セカンドオピニオンの医師の役割は基本的に、患者が方針を自己決定するために参考となる選択肢を提示することだ。浜松オンコロジーセンター院長で、セカンドオピニオン外来を担当する渡辺亨医師(腫瘍内科)が語る。
「よく“セカンドオピニオンを聞く=医者を替えること”と誤解されている方がいますが、そうではありません。別の医師に意見を聞いたうえで主治医の意見により納得できた場合、主治医のもとで治療を再開することは、むしろセカンドオピニオンの理念に沿ったこと。主治医に気を遣ってセカンドオピニオン先でのやり取りを隠すよりも、“こう説明されて、先生の方針の良さが分かった”とありのままに伝えればいい」(渡辺医師)
もちろん、別の意見を聞いて、主治医を替えるという判断を下すこともある。
「その場合、2度目の医者に、『患者の希望なので、こちらで引き取ります』と、最初の主治医に伝えてもらうこともできます。別の医師の意見を聞くことは、最終的に患者が納得でき、かつ正しい医療を受けるための手段ですから、主治医への遠慮も必要ないと思います」(中川医師)
患者には患者の立場があり、医者には医者の立場がある。それを理解したうえで率直な思いを伝えることが大切だ。
※週刊ポスト2018年12月7日号