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レトルト市場の4割がカレー、鍋つゆや調味ソースも牽引

レトルトカレーの生産量は右肩上がり

 昭和30年代後半、日本の経済成長にともなう生活向上のために女性が社会に進出。共働きの家庭が増加したことで、学校から帰ると自ら家の鍵を開ける“カギっ子”も増えていった。そんな時代の要請もあって、誕生したのがレトルト食品だ。

“レトルト”といってまず思い浮かぶのはカレーだが、レトルトの50年の歴史の中で、ご飯やスープ、おかずなど、さまざまなパッケージのモノが登場している。

 日本缶詰びん詰レトルト食品協会の金村宣昭さんによると、「レトルト食品というのは光や空気を通さない容器に食品を詰め、密封後、100℃を超える高熱で殺菌したものをさす」と言う。

「1968年に発売された『ボンカレー』は、市販用としては世界初のレトルトカレーです。これを機に、1970年代には釜飯の素やシチュー、ハヤシライスの素、ミートソースなど、多くの種類が続々と発売されました。ボンカレーを開発した『大塚食品』には、個食の時代がくるという、先見性があったと思いますね」(金村さん)

 市販のレトルト第1号の賞味期限は2~3か月だったが、今はどの商品も2年程度が一般的。また、湯煎だけでなく、電子レンジ調理も可能になった。

「レトルト市場ではカレーがおよそ4割を占めていますが、現在、市場をけん引しているのは主に鍋つゆや料理用調味ソースです。チンジャオロースや回鍋肉など、手の込んだ多くの食材やスパイス類を必要とする料理が簡単に、しかも時短で作れるため、その利便性がウケていると思います」(金村さん)

 現代人は忙しく、調理の簡便さを求める傾向がある。そのため年間を通してスーパーの棚にはパスタソースや料理用調味ソースが並び、鍋つゆが多くのスペースを占めている。

「最近では、以前は考えられなかった生活習慣病対策に特化した商品も調剤薬局で販売されています。これからも健康ニーズに応える商品は増えていくと思います」(食文化研究家のスギアカツキさん)

※女性セブン2018年12月20日号

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