◆いくつになっても学べる時代へ
その一方で、高卒で就職するという選択肢にも注目が集まっている。中卒や高卒、中退者の人材育成を手がける「ハッシャダイ」取締役の橋本茂人さんが指摘する。
「今は大学進学が当たり前といわれますが、割合的には大学に進学しない人が4割、大学中退者が1割いて、中卒・高卒・中退といった『非大卒』が全体の5割を占めます。注目すべきは、大学全入時代といわれることで大卒の価値が下がる一方、若くて成長する伸びしろがある非大卒に注目する企業が増えていること。今後さらに、非大卒に光があたるはずです」
非大卒を指す「第0新卒」という言葉が生まれるなど、採用現場は確実に活性化している。ますます多様化が進む受験や進学だが、それは、「いくつになっても学べる時代」の到来でもある。
実際、大学生の社会人率は毎年少しずつ上昇している。そしてこの先、国が「もっと学びたい」という社会人の背中を後押しする。
近著に『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書』(小学館)があり、大学准教授、メディアアーティストなど多方面で活躍する落合陽一さん(31才)はこう語る。
「人生100年時代、学校を卒業してからの方が人生は長いし、60才で退職しても、さらに余生が40年もあります。そこで政府は『リカレント教育』の拡充と、5000億円の財政の投入を宣言しました。リカレント教育は、基礎教育を終え、社会に出た人たちに向けた『学び直し』の機会です。
カルチャースクールなどの学びと違い、生涯を通じて社会で活躍し続けるための、就労を前提とした学びを指す。これからは、リカレント関連の環境や法整備も進み、生涯を通じて学ぶことが当たり前になっていくと思います」
受験や進学が変わることは、「学ぶ」という機会が増えることでもある。「生涯学習」こそ、これからの世の中で最も大切な新常識なのだ。
※女性セブン2018年12月20日号