国内

格安を謳う「家族葬」一般葬より高い例も、悪徳業者の見抜き方

「一般葬」は減少し「家族葬」が増加

「亡くなった祖父は97才と高齢で、友人や知人もほとんどが他界していたので、家族で話し合って『家族葬』にしました。家計に余裕もないし、費用も安く抑えられると聞いて、家族で『一安心だね』と話していました。ところがその後、葬儀社から渡された請求書にびっくり。最初に聞いていた金額より、40万円も高かったんです」

 こう話すのは、三重県在住の48才主婦の川口さん(仮名)。せっかく家族葬を選んだのに、一般的な葬儀をやるのと金額はあまり変わらなかったという。茨城県に住む田中さん(35才主婦・仮名)も、頭を抱えている。

「祖母は派手なことが嫌いで、生前から『私の葬式は義理も見栄も要らない。親しい人だけで送り出してほしい』と話していました。その意向に沿って『家族葬』にしたんです。ところが、四十九日が過ぎ、納骨のため菩提寺に行くと、『連絡もなしに、他のお寺の僧侶が戒名をつけた仏様を納骨することはできない』と断られてしまいました」

 昨今、全国でこうした「家族葬」を中心としたトラブルが増えている。日本エンディングサポート協会理事長の佐々木悦子さんが話す。

「近年、『家族葬』や『直葬』といった、小規模な葬儀を選ぶ人が増え、家族葬は今や主流になりつつあります」

 葬式や墓の情報サービス会社「鎌倉新書」によると、葬儀全体のうち、家族葬の割合は2015年の31.3%から2017年には37.9%と増加し、全体の約4割に達した。一方、「一般葬(通常の葬儀)」の割合は59%から53%と約6%減り、家族葬に置き換えられた格好だ。

 家族葬とは、家族や親戚、故人と親しかった人だけに参列者を絞る、小規模な葬式のこと。通夜や葬儀、僧侶による読経もある。

 家族葬に並んで人気なのが「直葬(火葬式)」だ。直葬は、通夜や葬儀を省き、病院や自宅から直接火葬場に遺体を運ぶ。儀式としては、火葬の間に炉前で読経する程度だ。簡素なだけに、費用は20万円前後で済む。佐々木さんが話す。

「そうした『コンパクト葬儀』が増える背景には、少子高齢化で若い世代の葬儀費用の負担が増え、昔のようにお金をかけられなくなったという経済的な事情が一因にあります。

 また、バブル時代は人をたくさん呼んで盛大に葬儀を行う人がほとんどでしたが、その半面、遺族は参列者に一日中頭を下げなければならず、文字通りに泣く暇もないほど忙しかった。そうした“見栄”に振り回されることに疑問を感じ、故人とゆっくりお別れしたいと考える人が増えたのも大きな要因です。“家の格式に合った葬式をしたい”と体面にこだわる風潮が失われつつあることも、葬儀の簡略化の背景にあるでしょう」

関連キーワード

関連記事

トピックス

「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン