福田淳一・前財務次官はセクハラ問題で辞任
◆財務省お墨付き?
同社のウェブサイトの会社概要には、〈専務取締役 山田貢(財務省出身)〉に始まり、監査役・取締役の名前の後ろにすべて、出身官庁が明記されている。財務省出身が4人、国交省・防衛省出身が1人ずつ、代表の松本卓也氏を除く6人の役員全員が元官僚である。金融業に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏は語る。
「松本代表はエンジニア出身で、金融ソフトの開発を通じて金融業界と親しくなり、ネット金融ビジネスを始めたそうです。5年前にまず山田氏を会社に招き入れ、以後は彼を通じてどんどん財務省を中心に人脈を広げていった。公益性の高い事業を謳い、官僚が役員に名を連ねているからということで信頼性を高めようとしていたように見える」
専務の山田氏は旧大蔵省で会計センター総務室長まで務めた後、中部国際空港の経理部長などを経て同社に。昨年8月、彼と現監査役が新任取締役として就任した際には、〈公共事業及びそれに関連する企業への貸付や公的金融機関との協調融資など、より安全性の高い商品の開発に努めていきたいと考えております〉と説明されており、官僚としてのキャリアと公共事業が明確に紐付けられている。その後も1年の間で4人も取締役が増えていった。
「国交省出身者と防衛省出身者も『公共事業の新規開拓』への期待から取締役に。一方、関東財務局で金融検査官としてキャリアを積んだ2人に関しては、“安全な金融商品”としてのお墨付きのために採用された。一人は2018年3月まで関東財務局に在籍しており、退職直後の5月に入社しているから、いかに彼らの人脈が財務省内に広がっているかがよく分かる」(伊藤氏)
実際にネット投資家のブログには、〈元官僚の人脈を活かした公共事業ファンド組成〉〈元官僚で固められた鉄壁の経営布陣〉がメリットとされており、そうした評判が投資動向に影響を与えていた様子が窺える。だからこそ、行政処分のインパクトは大きかった。
「これだけ財務官僚が天下っていたファンドが業務停止命令を受け、まして関東財務局の出身者が古巣から処分されるなど本来あり得ない話。財務省や金融庁としても、公共事業に絡むことだけに、身内だからといって看過できなかったのではないか」(元財務官僚)