◆「すべて先輩・後輩」
今回の処分についてエーアイトラストの松本代表は「行政処分については厳粛に受け止めており、再発防止に全力で取り組んでいるところです」としながら、こう述べた。
「現在、自社調査を進めているので詳しいお答えは差し控えるが、“ファンドで募った資金を当社が懐に収めた”という事実はあり得ません。官僚出身者については、私が旧大蔵省にロビイング活動などをしていた経緯で個人的な人脈があり、まず山田氏に声をかけ、彼が古巣や霞が関方面から“いいのがいる”と推挙されたと聞いている。報酬はそれなりの額を払っているので、名義貸しのような人物はおらず、みな実際に仕事をしています」
専務の山田氏を直撃するとうなだれながら答えた。
「書類を吟味せず承認してしまったのは私の責任で、大いに反省しています。ただ、誤解を招く部分があっただけで事業そのものが架空だったわけではない。入社に関しては役所には一切世話してもらっておらず、すべて先輩・後輩という人のつながりによるもの。大物キャリアを除けば財務省OBといえども再就職を探すのは簡単でないのが現実なんです」
処分勧告を行なった証券取引等監視委員会は「同社に対する検査は継続中」だとし、財務省は「行政処分については承知しているが、退職している職員に対するコメントは控えたい」と答えるのみ。
この異例の処分が、最強官庁の凋落を物語っていることだけは間違いない。国民からの信頼を回復できないまま、生活を苦しめる増税に突き進むのか。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号