マンガでも「地面師」が登場((C)大谷アキラ・夏原武・水野光博/小学館「ビッグコミック」連載中)
大島てる:安全性では、今年は制震・免震ダンパーの不正が問題になりました。私はどこのマンションで改ざんダンパーが使われているのか公表すべきだと思います。しかし、「オーナーの許可がないとできない」「公表すると不安を煽ることになる」と言って公表されない。このメーカーの言い分は事故物件に対する業界の対応と全く同じです(笑)。公表しないと、関係のないマンションにまで疑惑が及ぶだけなのに。
夏原:知り合いが住んでいるマンションが危ないらしくて「公表される前に売りたい」と言っていました(笑)。結局、売る側になってしまえば自分だけは損したくないというのは、業者も一般人も同じです。ローンも残っているし、気持ちはわかります。だからこそ不動産業者が正直に仕事をしなければいけないんですよね。
現在の制度では、業者はインスペクションはやってもやらなくてもいいことになっています。でも、本来は不動産業者が自ら進んで調べるべきでしょう。だって、自分たちの売り物なんだから。そこまでやれば業界への信頼は増しますよ。
──『正直不動産』単行本第4集には、地面師も登場しています。
大島てる:全国に地面師が御用達にしている土地があるというのは本当ですか? そういった情報は「大島てる」では扱いませんが(笑)。
夏原:それを作ると、大島さんの身に危険が及ぶかもしれないな。確かに、事件化した五反田の元旅館は裏社会で有名な土地の一つでした。でも、あの地面師はちょっと雑なところがありましたね。偽女将が「今度、田舎に帰る」とか言ってたらしい。いや、ここがおまえの家だろう(笑)ってね。「カミンスカス操」とか名前も含めてキャラクターが強いから、漫画で登場すると逆に嘘くさい。一般の人にはこうした大事件より、街の不動産業者の悪事のほうが身近だし、たちが悪いんでしょうけどね。
大島てる:最近は不動産業者に事故物件が悪用されて困っています。おとり広告の言い訳に使うんです。『正直不動産』にも出ていましたが、お客さんから問い合わせがあったとき、「さっき契約が決まってしまいました」と言うのは、通用しない場合も出てきた。だから「実は、あの部屋で自殺があったんです」と言うんです。すると客のほうから「じゃあ、やめておこう」となりますからね。それを真に受けた人が「大島てる」に投稿したりするから、いい迷惑です(笑)。