就職活動の面接と言えば、「志望動機」がお決まりの質問だ。「自分は何をやりたいのか」──学生にとっては(あるいは社会人にとっても)難しい問いと言えるだろう。では「やりたいことがない」と言っていた学生は、その後どうなったのか? 就活塾・キャリアアカデミーの宇佐川景子氏が2人のケースを報告する。
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最近の大学生は、3年生の夏になると何社かのインターンに行くことになります。彼らの多くは「将来どんなことをしたいのか?」という問いに対し、口を揃えて、金融、航空、食品、広告などの業界を挙げ、「企画の仕事をしたいです」と答えます。この受け答えの“トレンド”は、少なくともこの7~8年間、変わりません。
ただ、この1~2年、変化を感じています。「どんなことをしたいのか?」という質問に「特にやりたいことはない」という学生が増えているのです。
「どうすればやりたいことが見つかりますか?」という質問もよく受けますが、その言葉の裏には「ホントは働きたくない」という気持ちを感じます。通勤する疲れた先輩サラリーマンの背中を見ていたら、無理もないことかもしれません。
やりたいことがないのであれば、とりあえず大企業を受けることになりますし、大企業自体は確かに、恵まれた環境が多いと言えます。しかし、だからといって企業の理念や、求める人物像に“合わせて”入社したとしても、必ずしも幸福は約束されません。
「やりたいことがない」ままに大企業に入社した、2人の明暗を紹介します。
●大企業を1年で辞め、転職先でも“戦力外通告”されたAさん
Aさんも多くの就活生と同様に、本当は働きたくなくて、仕方なく就活し、世間体もあることから内定が欲しい一心で、盛りに盛ったアピールで、大手企業に就職できました。福利厚生は充実し、給料も悪くありませんでした。しかし「やりがいも面白みもないこの仕事を、あと40年も続けると思うと、どうしても耐えられなくなりました」と言って1年で辞め、ベンチャーに転職しました。
「転職して、確かに給料は下がりましたが、人間関係がよく、ノルマもなく、稟議書をまわずなど余計な仕事もなく、大企業よりよっぽどホワイトだと感じました」と、転職はうまくいったように見えました。