ライフ

桃の節句 おひな様を飾る由来は厄払い、菱餅の形の意味は?

1988年に徳島県勝浦町で始まった「ビッグひな祭り」は3万体以上のひな人形が飾られる

 四季折々の中に様々な風習がある日本。しかし、その成り立ちや由来を知らないことも多いだろう。たとえば、3月の桃の節句はどうだろうか──。

 3月には、冬籠りをしていた虫や動物が、陽気に誘われて地上に現れる「啓蟄」と、昼夜が同じ長さになる「春分」が二十四節気にあたる。大きな行事は3月3日の桃の節句と、春分の日をはさんだ彼岸の2つだ。

 また、中国の暦では日本の季節の変化を充分に表せないため、日本独自の暦日「雑節」が設けられており、その中で、春分と秋分に最も近い戊の日を「社日」という。春の社日である「春社」は本格的に農作業を始める日で、土の神を祀り、五穀の種を供えて豊作を祈願する。

 3月3日は女の子の成長を祝い、幸福を願う「桃の節句」が行われるが、正式には「上巳の節句」という。上巳とは、3月初めの巳の日という意味だ。日本の伝統文化を伝える『しつらい教室「食和家」』を主宰する、大田サチさんが説明する。

「中国では、『踏青』といって、川辺に出て青い草を踏み、川の流れで禊を行う風習がありました。これに日本の祓の信仰が結びつき、紙や草木で作った人形に穢れをうつし、海や川に流す、流しびなになったのです」

 その後、平安貴族の女の子の人形遊び「雛遊び」とも合わさり、江戸時代に、女の子の誕生を祝って飾る、豪華な段飾りが生まれた。

 そして、武家階級から町人、庶民へと広まり、ひな人形や桃の花を飾り、料理やお菓子とともに「ひな祭り」を行う、現在の形になってきた。日本和食卓文化協会代表理事の槻谷順子さんはこう話す。

「ひな祭りで食べられる菱餅の形は、女性や心臓を表すとされています。3色の意味は、邪気を祓うよもぎを使った草餅の緑、清浄の白、桃色は厄除けの力がある桃の花を表すなど、諸説あります。

 ちらし寿司と一緒に、はまぐりのお吸い物をいただきますが、これは春の農作業が忙しくなる前に、潮干狩りに行って季節のご馳走を楽しんでいたことの名残りといわれています。はまぐりの殻は、他の貝殻と合わせてもぴったり合わないことから、よい結婚相手が見つかり、一生添い遂げられるようにとの願いも込められています」

※女性セブン2019年1月17・24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン